大学eラーニングの今

第4回 新しい教育システムを求めて 佐賀大学

ボトムアップでネット授業を構築

大学は少子化や学力低下、国際化など多くの課題に直面し、旧来のシステムの改革を迫られている。その中で佐賀大学は早くから「教育改革」を旗印にeラーニングに取り組み、トップダウンでなく、教員が地道な取り組みを進めてきた。eラーニングの実施には専門的な人材と設備が必要で、多額の費用がかかる。佐賀大学では、さまざまな方法で費用を捻出し、コンテンツを独自に開発する力を蓄えてきた。さらに、日本の大学のeラーニングの普及、教育改革に役立とうと、教育・学習の方法やシステム、より良いコンテンツの開発、普及に取り組んでいる。佐賀大学のeラーニングを牽引してきた高等教育開発センター教育開発部門eラーニング推進担当の穂屋下茂教授に聞いた。

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ゼロからの出発

「LMSを知らなかったし、eラーニングという言葉さえ知らなかった。だから『ネット授業』と呼んだんですよ」と穂屋下教授は笑って振り返る。国立大学の先駆けを自認する佐賀大学のeラーニングはそんなスタートだった。

国立大学独立法人化の検討が進む1999年、佐賀大学の将来に危機感を抱いた若手教員が集まった。大学のビジョン、教育改革を論議し、「大教室で行う講義はネットワークを使って配信し、教員はゼミ式の少人数教育に専念すべきだ」との方向性が打ち出された。それをキーワードにアクションプランがスタート、2001年に全学教育協議会で「全学教育ネット講義推進委員会」が設置され、実験サイトを開設した。

2002年4月、ネット授業を開講した。総合型授業「21世紀のエネルギーと環境問題」が第1号のコンテンツだった。最初のネット授業は、全学教育科目で新規に始める科目とした。「従来からの科目をeラーニング化すると、『パソコンがない』『見られない』という声が出る。だから新規科目でやることにしました」と話す。

LMSはなかったので、必要な機能を地元企業にボランティアでつくってもらい、グループウエアに追加したシステム「NetWalkers」でコンテンツを配信した。サーバーは5万円程度の組み立てパソコンだった。「教育改革を」という意欲がエネルギーだった。

ネット授業を進めて6年。ネット授業は教養教育科目19、専門科目2、大学院科目3の計24科目を実施。単位取得率は初年度の2002年の39%から、2006年度の72%まで上昇している。

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