大学eラーニングの今

第10回 ケータイで体験型の授業を実現 青山学院大学

◇ 騙されない心構え

  フィッシング(Phishing)は情報を盗む手口の1つで、大きな被害を生んでいる。銀行やクレジットカード会社などのサイトにそっくりなサイトを作り、利用者を騙してIDやパスワードを盗む犯罪だ。伊藤助教は「フィッシングはIT版のオレオレ詐欺」と言い、「技術やその変化を知らないと騙される」と注意を促す。

  授業では、ただ、そのことを伝えるだけでなく 、学生の興味関心を高める仕掛けを考えた。まず、外見も動きも人間そっくりなヒューマノイドの写真を見せ、「この写真を使って、私が何を説明したいか予測しなさい」とケータイで回答するよう指示する。多くの学生は、答えはセキュリティ関係のことだろうと予測してこれまで授業で学んだこと、情報関連の知識を総動員して考える。「肖像権問題」「口の動きからパスワードを読む」などとさまざまな回答が送られる。写真の女性がロボットであることを言い当てた学生はごく少数だった。

  回答が集まったところで伊藤助教は、写真の女性がロボットであることを明かす。学生は「えッ」と驚く。そこで「技術の進歩に人は気付かないことがある」と説明、「オレオレ詐欺、フィッシング詐欺も多くの人に知られ、対策が練られてきた。だが、技術は日々進歩している。あなたの恋人や親類にそっくりなロボットが『お金貨して』と来たら騙されてしまうかも知れない。フィッシングも新しい技術を使うかも知れない。セキュリティ対策は、技術の進歩にも眼を配って、詐欺に遭わないように身構えなければいけない」とセキュリティの心構えを伝えた。

 その後、ケータイで送られた回答を見せた。学生は注目し、面白い回答には笑い声が上がる。ロボットと見破った少数の学生の回答を見せると、素直に賞賛する。「授業の流れを予測させることで学生は、知識を動員して分かろうとし、知識を結び付けようとする。授業に参加しようという機運が生まれる」と伊藤助教は言う。

  また、伊藤助教は「ギャグ可」として、答えを思いつかない学生にはギャグで答えてもよいことにしている。すると「熟女好き」「伊藤先生の奥さん」などいろいろな答えが出る。学生はなるべく気の利いた答えを書こうとする。「授業に参加させる方法です。ギャグ可とすると、分からない人でも答えられる。そうしないと、分かる人しか答えなくなってしまう。ふざけたことを書くな、というと『分かりません』ばかりになってしまう」と伊藤助教は「ギャグ可」の心を説明する。しかし、いたずらは出ないのだろうか。伊藤助教は「スクリーンに出すことで、ひどい書き込みは他の学生のブーイングを浴びる。自浄作用が働きます」と話す。


驚く学生

授業は驚きや笑いで盛り上がり、居眠りする学生はいない

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