大学eラーニングの今
第9回 入学前eラーニング 鳥取大学
-入学前eラーニングで学力の維持と学習習慣の継続を-
大学入試が多様化している。少子化対策として、多くの大学がAO入試や推薦入試の定員を増やしたり、入試回数を増やしたりした。これにより学生の確保という目的は達したが、入学生の学力低下という問題にも直面することとなった。同時にAO入試や推薦入試で早い時期に大学入学が決まった生徒が、入学までの期間を無為に過ごしたり、学習意欲が薄れたりするという実態があることが明らかになってきた。いずれも大学教育の大きな障害になる。この問題に対処するため、大学はリメディアル教育や入学前教育に取り組むようになり、そのための有効な方法としてeラーニングを活用する大学が増えている。鳥取大学では、AO入試や推薦入試で合格した生徒にeラーニングで入学前教育を行い、効果を上げている。鳥取大学入学センターの森川修准教授と三宅貴也教授に聞いた。
大学入試の変化
AO入試(アドミッションオフィス入試)は増えている。文部科学省の調べでは、AO入試による入学者は2007年度には6.9%だったが、2008年度には8.0%に増えた。特に私立大では08年度は9.6%で07年度の8.2%を大きく上回った。推薦入試による入学者も08年度は35.4%を占めた。
AO入試と推薦入試で入学した学生は全入学者の43%に上り、入学試験を受ける一般入試の入学者は55.9%にまで減っている。私立大だけで見ると、一般入試の入学者は48.6%で、2年連続で半数を割り込んだ。
AO入試や推薦入試では、基本的に学力試験を課さない。そのため、全般的な学力は合格ラインに届かないが、学ぶ意欲が強い学生、得意分野ですぐれた能力を持つ学生を獲得できるというメリットがある。だが、AO入試や推薦入試の枠が広がるにつれ、大学で学ぶに足る学力、学ぶ意欲や目的が希薄な学生も入学してくるようになった。
AO入試や推薦入試は大学だけでなく、高校の教育にも影響を及ぼすようになった。3年生の秋という早い時期に合格が決まるため、卒業、入学まで半年近くを明確な目標なく過ごす生徒が出てくる。その間に、学習意欲を薄れさせ、学習習慣を失う生徒も出る。「入試に向け必死に勉強している生徒とAO入試や推薦入試で合格した生徒を同じ意識に保つことは難しい」と話す高校教員もいる。
合格決定から入学までの間に、生徒の学ぶ意欲を維持し、大学で学ぶに足る学力を充足させる入学前教育が、重要な課題になっている。


