大学eラーニングの今

第8回 学習者適応型eラーニング 北海道情報大学

-学習者適応型eラーニングで学力を底上げ-

学生の学力低下対策が多くの大学で課題になっている。学力不足の学生の指導だけでなく、学生の学力のばらつきにどう対応するかが深刻な問題だ。十分な学力と明確な目的を持った学生から学力、意欲が不足している学生までを同じ教室で教えるのは難しいだけではなく、効率が悪い。多様な学生をどう指導するかという多くの大学が直面する問題に、北海道情報大学はeラーニングという方法を選び、個々の学生の学力に合った教材を提供する「学習者適応型eラーニング」で、学力の底上げを実現した。プロジェクトをリードした冨士隆教授に、学習者適応型eラーニングの概要や取り組みの背景、成果について聞いた。

学生の多様化

少子化の時代に学生を確保するため、多くの大学は入試のハードルを低くして学生の確保を図った。その結果、学力も意欲も大学に通う目的もさまざまな学生が一緒に学ぶようになった。特に学力低下問題は深刻で、大学教育を理解するだけの学力のない学生も入学してくる。学内の学力格差が広まり、優秀な学生から中学高校レベルの学力の学生が机を並べることになる。「クラスにTOEICの100の学生から700の学生までがいる」という、ある英語教員の嘆きは特別なことではない。そういう状況では、低学力の学生の指導に力を入れれば優秀な学生をスポイルすることになるし、従来の教育内容のままならつていけずに、学びを放棄する学生が出てしまう。教育の効率は悪く、大学、教員の負担は大きくなる。教室での一斉授業の限界が見えてくる。
北海道情報大学でも、学生の多様化対策が課題だった。札幌市の東、江別市に1989年に開学した北海道情報大学は、「情報の総合大学」の旗印のもと、高度IT人材の育成を進めてきたが、学力の低下、学生の多様化にどう対応するかが課題になった。

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学習者適応型eラーニングシステムの開発

「学生の多様化はどこの大学も抱えている問題です。100人200人が一緒に学ぶ教室では、授業について来られない学生がいる。彼らを育てる環境は何かを考え、学習者適応型のeラーニングという答えに至った」と冨士教授は語る。同時に「単に学力を補充するというだけでなく、学生が自分で学べる環境、学生が主体になって学べる仕組みを考えました」と言う。
「ITによるIT人材育成フレームの構築-学習者適応型e-Learningシステムの開発」プロジェクトを文部科学省の現代GPに申請、採択され、2005年度から3年間の取り組みをスタートさせた。
・画像、音声などさまざまな教材や資料を活用して質の高い教育を提供する
・学力の不足している学生の理解促進に対応する
という2つの実現を目指し、eラーニングを正規の授業に取り入れた。
この取り組みでは、経済産業省が策定した「ITスキル標準(ITSS)」の中の「アプリケーションスペシャリスト」の育成を目標に定めた。対象となる「システム構築を行う人材育成に関連する科目」は1年から4年までに12科目ある。そのうち、「情報システム学概論」「ソフトウエア工学」「プログラミング言語」など6科目をeラーニング化した。学生は大学の教室で、eラーニングで学ぶとともに、自宅で予習や復習を行える。

冨士教授

冨士教授


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