大学eラーニングの今

第7回 知識から理解へ 九州大学歯学研究院

-「間違い探し」で洞察力を深めるeラーニングコンテンツ-

医療需要の拡大、医療の高度化、専門化に伴い、高度の医療技術と知識を兼ね備えた医師、歯科医師、看護師などの育成が急務になっている。学習内容が増大、多様化し、学習者は多くの知識、技術を効率的に学ばなければならなくなっている。それだけでなく、豊かな知識を基盤に、患者の容態や医療環境などを的確に把握し、総合的に判断できる「洞察力」の育成が求められている。
九州大学歯学研究院(歯学部)では、「洞察力」を育成するために、テキストや画像を使って「間違い探し」のeラーニング教材を作成している。知識の伝達にとどまらず、事象の中にある「間違い」を発見することで、事象の総合的な理解を促す教育を目指している。知識の提供にとどまらず、知識を関連付け、状況全体を把握し判断できる総合的な理解力を育成する新しいeラーニング取り組みだ。

間違い探しコンテンツ

「教育」「研究」「臨床」の各分野の人材を育成し、多くの歯科医師や研究者を送り出してきた九州大学研究院(歯学部)は、1学年55名(3年時に編入学生が5名増)、6学年で350名の学生が学んでいる。医療を取り巻く環境の変化に対応すべく、患者の立場に立って最善の診療ができる人材を育成するための教育方法の工夫、改善を進めてきた。
歯学研究院(歯学部)では、歯科医師の育成には、知識を教えるだけでなく、患者の状態や医療環境を的確に把握し、総合的、主体的に判断できる能力「洞察力」の育成、そして臨床経験を積ませることが必要と考え、それを実現するeラーニングコンテンツの作成プロジェクト「間違い探しを基盤とする洞察力育成医療教育」を企画、2007年度の文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)に申請、採択された。
「間違い探しコンテンツ」は、文章、静止画、動画の中にいくつかの間違いを入れておき、学生がその間違いを探し出す問題だ。文章や画像の中の間違いを発見するには、状況全体の文脈や構造を把握し、その状況にそぐわないもの、不適切なものを見つけたり、その状況で医療従事者に求められる行動などを判断したりできなければならない。全体の構造やひとつひとつの動作、設備、機器などの意味、関係を理解している必要がある。個々の医療行為や設備、機器についての知識だけでは解けない問題だ。

坂井教授

坂井教授

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